幼稚園教諭 私の経験談
保育者の醍醐味
先生になって
本当の先生になって戸惑うこともことあるごとにありました。私と一緒に三歳児の担任をするのは、ベテランと中堅そして新人の私の三人で、客観的にはバランスのよい配置だったように思います。
先生としての保育観は一人ひとり少しずつ違い、また新人の育て方もやはり違いました。ベテラン先生は、任意主義で「そう思うならやってみなさい」と言い、中堅の先生は「私は○○した時こうしたよ、私がやってあげるよ」と手本を示すタイプ。あまりにも指導の違いに戸惑うこともありましたが、一長一短でどちらともに感謝しています。
参観日の大失敗
一番の失敗と今でも思うのは、参観日での出来事。初めての参観は給食参観でした。どんな風に、どんな給食を食べているのかを観てもらう参観でした。私も緊張、子どもたちも緊張している中で、ある一人の男の子が箸を忘れてきたのです。困っている男の子に私は「台所のおばちゃんに言ってお箸もらってきて!」と言ったのです。
通称台所という自炊室には、庶務の担当をする方が常時いてくださり、保育者の補助をされていました。子どもが箸やフォークを貸してくれることになっていました。しかし、参観日のという中で心細くなっている子どもにかける言葉ではないのです。未熟な私は保育室の父兄や他の子どもたちを待たせて部屋を離れるわけにはいかないと考えたのです。
その子は、半泣き状態になってしまいました。その時、参観されていた一人のお母さんが台所へ走って箸を取ってきてくれたのです。何とも情けない話です。子どもを理解するはずの保育者が自分の体裁を考えて子どもに心細い思いを味合わせてしまったのです。父兄もこんな先生に子どもを任せるのは不安だと思ったに違いありません。今思い出しても、赤面するくらい恥ずかしい何ともお粗末な保育は、今でも苦い思い出となっています。
ただ、救われたのは、その時代の父兄は、保育者の失態を鋭く指摘するのではなく、若い先生が育つのを黙ってみていてくれたような気がします。自分でも失敗と思っているところにまた指摘が飛んできたら、かなりのショックだったと思います。
なんて楽しい幼稚園教諭
数年が経ち、園の様子にもずいぶん慣れて、ライフサイクルもでき、人間関係もなんとなくわかってきました。子どもたちの気持ちを考えながらの保育も私なりに頑張っていました。子どもと共にどろどろになって泥んこ遊びをしたり、全身を使って絵の具に触れる感触を味わったり、五感を十分に使えるように遊びを考えてカリキュラムを立てました。子どもたちにも父兄にもそれなりに信頼をしてもらえていたように思います。毎日が楽しくて仕方ありませんでした。研究発表の発表をしたり、またその中で学んだことを日々の保育にフィードバックさせながら、奥深い保育の世界に浸っていたように思います。
また、新しく先生が一人採用され、一生の友とも思える友人になり、保育について喫茶店で論議したり、お互いに励ましあいながら、公私ともに充実感を味わっていました。心底、「あぁ、この仕事に就いてよかった~。」と思いました。

